カエデの贅沢な贈り物。メープルシロップの違いを知ればその尊さに跪く
フライパンにバターをひとかけ落とし、火を入れる。いい匂いが漂ってきたところで、牛乳、卵、小麦粉混ぜ合わせたタネを入れると、じゅうううと焼ける音が耳に心地よい。
きつね色に仕上がったパンケーキに添えるのは、黄金色の香ばしい蜜。メープルシロップだ。
天然のメープルシロップは、舌に乗せると木の香りがする。
これを活かして、メープルとチーズやメープルとナッツを合わせてみて欲しい。これはもう、酒と共に嗜みたいデザート系のツマミのひとつになる。
メープルの原料は樹液
メープルシロップといえば、カナダを思い浮かべるだろう。
カナダ産のメープルシロップは、100%天然のカエデの樹の樹液を煮詰めて作る。原材料、地球。天然の甘味料だ。
カエデの樹の樹液は、もともとは水のように無色透明。それを手間と時間をかけて煮詰めることで、褐色に変わる。
着色料や添加物のようなチャラチャラしたものは、一切使わない。意外に硬派だ。
採取量と期間
1ℓのメープルシロップを作るのに必要な樹液の量は、なんと40ℓ。
樹液が採取出来るのは、昼の気温が摂氏0度から4度で、夜の気温が摂氏0度からマイナス4度くらいの、雪解け時期の2、3週間程度の期間のみ。
…なるほど高価なわけだ。
メープルシロップの種類
メープルシロップにも種類があるのはご存知だろうか。
同じ樹液を同じように煮詰めても、樹液の採取時期によって色や風味は異なり、採取時期が進むみつれ色や風味が濃く強くなる。
カナダでは色、味、風味、透明度などによって等級がつけられる。等級は、ナンバー1から3まであり、さらにグレードがつく。
グレードは、エキストラライト、ライト、ミディアム、アンバー、ダークの5種類で、順を追うごとにその色は濃くなっていくのが通常。我々のもとに届くメープルシロップは、様々な基準をクリアした良質なものである。
ナンバー1
ナンバー1「エキストラライト」
採取時期が早い樹液で作られるシロップ。色は薄い黄金色をしている。繊細な味が特徴で風味もデリケートで甘みが残らない。トッピングなどにおすすめのメープルシロップ。
ナンバー1「ライト」
エキストラライトよりも、収穫の時期が遅い樹液で作られるもの。色は薄い茶で、味は柔らかく、こちらもトッピング等に向いている。
ナンバー1「ミディアム」
ライトよりも収穫時期は遅い時期で、琥珀色をしている。一番市場で多く見られるのがこのタイプ。下味やたれや、甘味付けのように料理に使われているのがこのタイプだ。
ナンバー2
ナンバー2「アンバー」
濃い琥珀色の風味が強いシロップ。ミディアムよりも、収穫が遅い時期の樹液から作られている。煮物料理やお肉料理等、しっかり味つけをする時に使用する。
ナンバー3
ナンバー3「ダーク」
その名称から想像つく通り、焦げ茶の濃い色味のシロップ。アンバーよりも採取時期は遅く、こちらは主に食品加工用として使われる。
メープルシロップの栄養素
メープルシロップは、砂糖や蜂蜜よりもカロリーが低く、ヘルシーな甘味料。カルシウムやマグネシウム、亜鉛やカリウムといったミネラル、アミノ酸やビタミンを豊富に含んでいる。
メープルシロップの糖質は、米やパンよりも体に吸収されにくいという。すぐに脳に伝達されてエネルギーに変わるので、仕事のブレイクタイムにもぴったりだ。
本物のメープルの見分け方
本物の見分け方としては、原産国にカナダと記載されているものを基本にして、原材料はカエデ樹液100%と記載されているものを選ぶといい。メープルシロップと記載されている場合もOKだ。
余談ではあるが、メープルバターという乳白色したバター状のものを目にした事はないだろうか。
筆者、友人からこのメープルバターの瓶詰めを貰った事があり、もったりしていて、色も乳白色。てっきりバターにメープルシュガーを混ぜこんで作られたものだと思っていたが、メープルシロップのみで作られたものだそうだ。
メープルシロップを煮詰めて撹拌し、空気を取り込む事によって乳白色のバター状態にしたもので、これがまた美味い。
こちらはジャムのような感覚なので、男性諸君よりは女性が好むテクスチャーかもしれない。
ちなみににくまはコレを、スプーンでもしゃもしゃ完食するという「くま喰い」をしたことがあるが…それはもう、幸せなひとときだったことは言うまでもない。
あゝ、兎にも角にも食べたくなってきた。