シガーと言えば、ゴッドファーザーのような渋い男の姿を思うかもしれません。確かに海外の映画のワンシーンのような重みを感じますよね。シガーは葉巻のこと。日本でタバコと呼ばれているものは、「紙巻きタバコ」のことで「シガレット」とも呼ばれます。

葉巻とはタバコの葉をタバコの葉で巻いたもので、形状が統一されていません。長さや太さなど、さまざまな形状があります。わかりやすく言うと、基礎になる風味の良いタバコの葉(フィラー)を、弾力のあるタバコの葉(バインダー)で支え、香りや見た目のきれいなタバコの葉(ラッパー)で包んだものがシガー(葉巻)です。
大人の男の趣味や嗜好として、シガーを試してみてもいいかもしれません。前半は軽く、後半はディープに味やカットについて楽しみ方を見て行きましょう。
まずはシガーの歴史から

シガーはタバコですが、最も古い加工の技術でつくられたタバコです。古代の中米で吸われていた喫煙の方法だと考えられているそう。古代の当時では、宗教的な意味合いで喫煙することが強く、現代の嗜好として、趣味で吸う概念ではなかったよう。

タバコの葉を大量に燃やし、この煙を身に纏う…。そんな儀式の中で、大量に燃やされているタバコの中に、タバコ葉を棒状に巻いたものがあったのが現代のシガーの原点。これがヨーロッパの貴族や商人の間で広まり、嗜まれることでその味や構造を確立させて行ったのでしょう。
シガーの種類はふたつある

シガーには大きく分けて、「プレミアムシガー」と「ドライシガー」の二つに分類することができます。
プレミアムシガー
「プレミアムシガー」は、すべての部位に100%タバコの葉を使用した、ハンドメイドのタイプ。手間や原料から考えても、高級品に当たります。独特の香りや味、その吸い口のまろやかさが特徴のタバコで、繊細なので保管には保湿容器が必要になるお嬢様なタバコです。
その独特な香りや味、まろやかさは、タバコの葉そのものが持っているものに、発酵と熟成をさせ、各国の特徴あるタバコ葉をブレンド。更に出荷前にも熟成させることによって生み出しています。
まるで珈琲やお酒、茶葉のよう!発酵や熟成の経過を辿るものには、嗜好品としての付加価値が多いのは気のせいではないはず。ハマる者には強烈にハマるというそのクセが、嗜好品であるということでしょうか。名画と一緒?
ドライシガー
さて、次に「ドライシガー」。こちらは、主に手ではなく機械で巻いたもので、湿度管理の必要が無く常温の保管が可能な葉巻のこと。吸い口が付いているタイプで、比較的管理も簡単な。初心者の方にもおすすめの葉巻です。
更にドライシガーの中でも、「リトルシガー」と呼ばれる紙巻きタバコに似た形状の葉巻は、巻紙にシートたばこが使われていて、葉巻たばこに分類されます。(タバコ税法において)シガレット風に作られているので、フィルターが付いている葉巻。香りが豊かなのに、紙巻きタバコのような手軽さがあるので、比較的楽しみやすいのが利点でしょう。
フィラーにも種類がある
ちなみに、冒頭でも説明したシガーの基礎となるフィラー(※)ですが、ショートフィラーとロングフィラーがあります。
●ショートフィラー
タバコの葉を細かく砕いて使用したもの。
●ロングフィラー
葉を砕かずにそのままの状態で使用したもの。一般的にはロングフィラーのほうが、高級・上等とされているそう。
(※)おさらいわかりやすく言うと、基礎になる風味の良いタバコの葉(フィラー)を、弾力のあるタバコの葉(バインダー)で支え、香りや見た目のきれいなタバコの葉(ラッパー)で包んだものがシガー(葉巻)です。
シガーの吸い方

シガーの吸い方は、肺いっぱいに煙を吸い込まず、ふかすもの…そう聞きかじったことはありませんか。その通り。シガーは一般的に、煙をふかしてその香りや風味を愉しむものです。
シガーの点火方法
① 火を点ける際、まず煙を吸い込まずに、炎を燃やし先端部分をあぶります。大きな炎で、炭化させて行きましょう。そのままシガーの後ろの端を45度に上げて傾けます。これは均等に炭化させるためです。こうすることで、湿り気を帯びた熱気で葉巻の内部を温めることが出来ます。② 次に、シガーを回転させながら少し遠くに離したような遠火で点火します。一般の紙巻きタバコのように、吸い込みながらの点火はしないようにしましょう。
点火する火の種類

着火する際は、マッチやオイルではなくガス燃料のライターを使うのが一般的です。というのも、味や香りが変わるのを防ぐため、ニオイで邪魔しない燃料を使うことがポイント。ですが、好みによってあえてマッチを使う、という人もいます。自分の好みの方法を探してみてください。
葉巻は繊細で、手間をかけてあげることで風味が増し深い味になります。それゆえ、手間のかかる点火方法になったのでしょう。特に太い葉巻では注意が必要です。紙巻きタバコのように、吸いながらいきなり火をつけると、均等に燃えずにいびつに片燃えする原因になります。シガーは、時間をかけて点火するようにしましょう。
日本独特の作法
上記の作法の他、葉巻でよく言われている
●火が点いている間は、可能な限り灰を落とさない(灰はラジエーターの役割をするため)
●クールスモーキング(一定のテンポで喫煙すること)
これは、日本独特のもの。日本以外では、このような作法や習慣はありません。シガー(葉巻)の作法は日本人の繊細な舌や、感性、決まり事を重んじる性質によって発展されたと言えるかもしれません。
繊細に感性豊かにシガーを楽しむには

日本人の繊細な舌や感性で、シガーを楽しむとしたら…
豊かな香り
まずは香りをゆったりと愉しみましょう。もともとシガーの一般的な楽しみ肩として、香りがあります。紙巻きのタバコと比べても、喫煙時間が長く持ちが良いので、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
所作
日本独特とも言える、シガーならではの作法を愉しみましょう。先端をカットし、火をつけ、ふかす。独特の所作や、あえてのクールスモーキング、灰を落とさない吸い方も愉しみのひとつ。数をこなすことで、こなれ感や洗練された手つきが身につきます。無意識に無造作に、所作が身につけば、大人の男の色気にも繋がるでしょう。
道具
日本人のこだわりに、道具は欠かせない要素です。シガーを吸う際の道具にこだわる…。例えば、シガー先端を切り取る「シガーカッター」や、葉巻を乾燥から守る為の「シガーボックス」、持ち運ぶ際にセンスの問われる「シガーケース」などこだわればキリがありません。
シガーのカット方法

シガーは先端を「シガーカッター」という道具で切り取り、点火するのが通常の方法。このカットの仕方にも「フラットカット」と「Vカット」と「パンチカット」という方法があります。シガーはカットした面が広いほど、マイルドな味わいになるので、カットひとつで大きく味わいが変わってくるのが面白いところでしょうか。
吸い込み(ドローと言われている)が悪いシガーの場合、カットを深く広くすることで、改善されることもあるのだとか。
シガーカッター

道具でこだわる…という話をしましたが、シガーカッターにも様々あります。
「ギロチンカッター」
一般的によく見るシガーカッターで、フラットカットに使用します。文字通りギロチンのように歯がスライドして、スパーン!と切り落とすタイプのカッター。ダブルブレードとシングルブレードがあり、両サイドを押して切るか、片方の刃で切るかの違いになります。
「シザー」
専用のはさみのこと。こちらもフラットカットに使用します。女性が使うメイク用品の眉毛カッターに似ているような…そんな小さなはさみ。
「パンチカッター」
円筒状の刃の付いたパンチカット専用のカッター。一般的には車のシガーソケットのような筒状で、持ち運びには便利。パンチの大きさにも種類があり、その大小によって風味が変わってきます。形状も様々あるので、好みのひとつを見つけるのも楽しみ方。
カットの方法

「フラットカット」
水平に吸い口を、ラッパーごと内部に巻かれた葉も一緒に切り落とす方法。ギロチンカッターで勢い良く切り落とすか、専用のシザーを使う方法があります。ポイントは、丸みのある端っこを少しだけ残して切ること。こうすると、葉巻がほどけません。
難点としては、切り方を失敗すると切ったクズが口に入り、不快な思いをすること。また、カットした面が大きいので、しっかり咥えなくてはならなくなります。太く大きいシガーの場合、男性ならいいのでしょうが、女性には向かない切り方でしょう。
「パンチカット」
フラットカットの次に、メジャーな切り方で、フラットカットより深く切り込まずに、ラッパーのみを取り除く方法です。後ろの端は丸みを帯びていて、口当たりがよくなるのが特徴。カットを大きく開ければ、風味が穏やかになりますが、小さく開ければ、風味は濃厚。
しっかりとシガーを咥えなくて良く、唇を添えるだけで燻らすことが出来るので、女性にはこちらがおすすめ。また、咥えなくて良いので、唾液で吸い口を詰まらせることを軽減させてくれます。
「Vカット」
Vカット専用のカッターを使ってカットする方法。ヘッドにV字型の溝の切り込みができる切り方で、後ろ側は丸みを帯びた状態で残ります。パンチカットより切り取り面積が広く、口当たりが良くなるのが特徴。カット面が大きいので、煙の量が多く楽しめるとも言われています。
「リカット」
これは、シガーを中盤くらいで再カットすることを指します。シガーは種類が豊富にあるので、その種類とカットによって味は様々。愉しみ方のひとつとして、味を変えて愉しむことが可能。
シガーは半ばくらいから苦味や辛味、エグ味がでることがあります。その場合、リカットして解決できる場合も。もちろん味の変化も愉しみ方のひとつですから、リカットせずに最後まで燻らすのも個人の嗜好でしょう。

種類も道具も様々なシガー。まさに趣味の嗜好品。今はシガーバーもあるので、まずは手軽に愉しんでみてはいかがでしょう。